特許法41条3項の規定

Aが出願された後、Aの明細書に記載された発明Xにかかる
他人の出願Bが出願され、次いでAの出願人がXが明細書に記載された
Aを基礎とする国内優先出願Cを出願した場合、
Aは1年3月後に取下げが擬制され、かつCはBの後願になるので
Cを引例として29条の2の規定によりBが拒絶されることはないはずであるが、
Cの出願公開または特許掲載公報の発行を要件として、
Aの出願公開がされたとみなし、Aを引例として(☆)
29条の2の拒絶をできることを定めたものである。
ところで、基礎出願Aは出願から1年3月後に取下げ擬制されるべきものであるが、
特許法65条の出願公開請求を行えば出願公開公報が発行されるので、
29条1項3号又は29条2項によってもBを拒絶する余地がある。


国内優先の基礎のケースに限らず、
出願公開請求にすることにより、
準公知としてのみならず、進歩性判断の引例としても扱われる可能性があり、
また、出願公開されていない場合は29条の2の引例にもならないので、
出願公開の前に後願の審査が行われている場合には
(スーパー早期審査では申請後2か月以内に審査に着手するので
先願の出願公開前に特許査定もありうる。)
後願排除効を考えた場合、
出願公開請求制度は意義がある・・・のかもしれない。


☆Cではなく、引例はあくまでAであることに注意。