特44条二号と三号の時期の分割には、加重的な要件がある。
すなわち、分割出願の直前の明・請・図に記載された事項の範囲内で
あることである。二号及び三号の時期(特許査定の謄本送達から30日以内と
拒絶査定の謄本送達から3月以内)は、拒絶査定不服審判請求をする場合を
除いては補正ができない期間である。したがって、補正ができなければ
削除した出願当初の明・請・図の範囲内の記載を復活できないのであって、
分割出願にこれらの事項を反映できないのは当然である。


ところで、二号分割、三号分割では前置審査における査定や
差戻審決後の査定の後に分割出願をすることはできない。
二号分割にあっては、クレームアップしていなかった明細書に記載された
発明に特許を受けようとする者を救済しようとすることが
法の趣旨であり、そのような発明を分割する機会は審判請求前の
拒絶査定時に与えられているはずだからである。
三号分割にあっても、最初の拒絶査定において分割の機会が
与えられているので、2回目以降の拒絶査定後の分割は禁じられている(だったはず・・)。