特許法80条三号に基づいて原特許の通常実施権者に
中用権が生じる場合、登録していた通常実施権者はもちろんのこと、
登録していない法定通常実施権の実施権者にも発生することに注意。
同法99条2項は、法定通常実施権は前項の効力を有すると
しているためである。
短答では、「登録していない通常実施権者に
中用権が生じる場合があるか?」のように問われる。


80条柱書の「登録前に」の登録は、予告登録のことである。


中用権は有償の法定通常実施権である。
実施や実施準備により設けた設備を除却するのは経済的でないという
理由で仕方なしに認めているものだからである。
先使用権も同じような理由で認められているのに
なぜ無償なのか?という点については、
先使用権には、より早く出願していた者だけでなく
より早く実施をしていた者にも先願主義の補償として
一定の保護を認めている側面があるとする田村説に立てば、
公平の見地から無償が妥当なのである。


この点は特許法の目的たる発明の「利用」の内容を見ることによって
より明確に理解される。つまり、発明の利用は
文献上の利用と実施上の利用があり、特許は前者の利用に発明を
供した者に権利を付与するものであるが、先使用権者は後者の利用を
自ら行うものであり、これも同様に産業の発達に資するものであるから
何がしかの権利を与えねばならぬとする説である。
(この部分酔って書いてるから語調がなんか変です。)