拡大先願規定における「同一の者」の解釈

特29条の2の但書、
「ただし、当該特許出願の時にその出願人と当該他の特許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。」
は、出願人の完全一致を要求し、先願と後願で
共願人の有無が異なる場合などには適用除外されない。
つまり、先願の出願人が帝国金融単独で、
後願が帝国金融と帝愛ホールディングスの共願である場合には
適用除外されないので後願が当該先願の出願公開前の
出願であっても当該先願により拒絶されうる。
これはけっこう実務的には重要で、先願または後願においてのみ共願人が
いるにもかかわらず、適用除外だからオッケーオッケーみたいに
考えてはいかんということである。

cf)30条の「その者」は、特許を受ける権利を承継した者が含まれる。
41条の「特許を受けようとする者」と「その者」の同一性は、「特許を受けようとする者」の出願時に実現されていればよい。