国際出願において図面の添付がなかった場合、
移行の際に実用新案法48条の7第1項に基づき、
国内処理基準時までに図面を特許庁長官に提出しなければならない。
この規定はPCT7条(2)(ii)に基づくものである。
PCT7条(1)に拠るものではないことに注意する。
∵実用新案の客体は小発明であり、発明の理解に図面は必ずしも必要でないから。


国内処理基準時はPCT23条(1)に定められる期間の満了時である。
国内処理基準時までに図面が出なかった場合の規定は
48条の7第2項および3項にあるが、これは基礎的要件の違反の場合と同じ構成であり、
4項には図面の提出を補正とみなすとの規定がある。


国内処理基準時が出てくるところとしては、特許法184条の11があり、
在外者は国内処理基準時の属する日後省令で定める期間内に特許管理人を決めて
特許庁長官に届け出なければならないことが2項に規定されている。
届出がない場合は、出願審査請求に似た構成を取る。
すなわち、却下するのではなく取下げを擬制する。
この場合は処分性がないので却下の場合と異なり不服申立てを行うことはできない。


なお、特許管理人を定めずに在外者が出願を行った場合は、
方式の違反ではなく、特18条の2の却下がなされ、
在外者に対して特許庁長官が補正命令をすることはない。