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意匠の類似の範囲は一義的に決まらない。そこで、従来類似意匠制度を設けて
登録意匠の類似範囲に限り先願により拒絶されないとし、類似意匠により
類似の範囲を明確にする試みがあった。
しかし、類似意匠の効果について確認説と結果拡張説に解釈が分かれていた。
前者が裁判所の採った見解であり、後者が特許庁の採った見解である。
両者いろいろ言い分があったが、結局出願後から意匠権消滅まで
類似意匠を出願できる制度に問題があったので関連意匠に改められた。
関連意匠は登録公報発行までしか出願できない(当初は本意匠と同時出願のみ)が、
効果は結果拡張説と同様である。
まあ、類似ってどこまでだよ!って考えた時に
類似意匠とか出せることにしたら超画期的じゃね?とか思ったのかもね。
類似意匠の出願の都度審査官が類否の判断をするんだろうし。
まあ制度欠陥だけど。
類似は需要者から見た美感により定めるんだよ〜という
判例との前後関係とかで見るとおもしろいのかもしれない。
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国際予備審査請求は国際調査報告書及び見解書の通知の送付より
3ヶ月以内もしくは優先日から22ヶ月以内のいずれかの遅い方までが
請求可能な期間である(根拠条文がどこかわからない・・)。
国際予備審査報告書は優先日から28月までに出さなければならない。
予備審査に大体6月かかるのだと覚える。
28月を過ぎた時点で国内移行した場合は、特184条の4に従い、
国内書面提出期間の末日の優先日から30月ではなく、国内移行から
2月以内に翻訳文を提出すればよい。
国際予備審査請求報告書が期限いっぱいに来て、国内移行から
国内書面提出期間末日まで時間がない場合のための措置である。
では当該措置の条約上の根拠はどこにあるかというと、
PCT22条(3)を見る。すなわち、翻訳文の提出は、
(1)又は(2)に定まる期間よりも遅い時に満了する期間を
定めることができる、とある、
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国際出願において図面の添付がなかった場合、
移行の際に実用新案法48条の7第1項に基づき、
国内処理基準時までに図面を特許庁長官に提出しなければならない。
この規定はPCT7条(2)(ii)に基づくものである。
PCT7条(1)に拠るものではないことに注意する。
∵実用新案の客体は小発明であり、発明の理解に図面は必ずしも必要でないから。
国内処理基準時はPCT23条(1)に定められる期間の満了時である。
国内処理基準時までに図面が出なかった場合の規定は
48条の7第2項および3項にあるが、これは基礎的要件の違反の場合と同じ構成であり、
4項には図面の提出を補正とみなすとの規定がある。
国内処理基準時が出てくるところとしては、特許法184条の11があり、
在外者は国内処理基準時の属する日後省令で定める期間内に特許管理人を決めて
特許庁長官に届け出なければならないことが2項に規定されている。
届出がない場合は、出願審査請求に似た構成を取る。
すなわち、却下するのではなく取下げを擬制する。
この場合は処分性がないので却下の場合と異なり不服申立てを行うことはできない。
なお、特許管理人を定めずに在外者が出願を行った場合は、
方式の違反ではなく、特18条の2の却下がなされ、
在外者に対して特許庁長官が補正命令をすることはない。
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職務発明にかかる特許を受ける権利を承継した使用者から、
さらに特許を受ける権利を承継した転得者が設定登録を受けた場合に、
当該使用者に通常実施権が発生するかが問題となる。
通説は、発生しないとする。その理由は、
・従業者が発明を行い、特許を受ける権利を取得すると同時に、
使用者に通常実施権を獲得する期待権が発生するが、特許を受ける権利を
承継することで当該期待権が混同により消滅する。
・公示のない使用者の通常実施権が存続することは取引の安全を害する。
しかし、後者の理由については、許諾通常実施権であっても
今後は登録しなくても対抗要件認めちゃうわけだしなあ。
従業者から転々譲渡された場合も転得者は通常実施権の存在知りえないし。